エリクソン、イラクでの不正で経営陣が訴追される可能性

投稿日: カテゴリー: 欧州デジタル情報

3月29日に開催されたスウェーデン通信機器エリクソンの株主総会では、株主の10%強が、エクホルムCEOと取締役会メンバーに対し、エリクソンのイラクでの不正に関する責任を免除することを拒否した。スウェーデンの国内法によると、拒否が10%を越えた場合、株主は1年間に渡り、経営陣を訴えることが可能となる。ただし、責任免除に反対したスウェーデン及びノルウェーの投資ファンドらは、経営陣に対する支持を覆すことはせず、経営陣は続投が許された。しかしながら、スウェーデンでは、株主達の警告は非常に重大なものと受け止められている。
問題が発覚したのは2019年に遡る。エリクソンは同年、イラクにおける携帯電話ネットワーク敷設についてそれ以前の8年間に関する同社の不正行為に関する内部調査を開始した。しかしながら、調査報告書の存在が明らかにされたのは、スウェーデンの国営テレビSVTがその内容を明らかにした2021年2月15日後になってからだった。
後にエリクソン自らが認めたSVTの調査内容によると、エリクソンはイラクで、贈賄や怪しげな仲介者の利用に加え、機器の輸送の際にイラクの税関を避けるための「イスラム国(ISIL)」への支払いを行っていた疑いがある。その後もエリクソンは、この問題に関する米司法省との協力を理由に、報告書の公表を拒んでいる。米司法省は、イラク以外の国々でのエリクソンの不正行為に関する合意により、今回の問題にも関与している。エリクソンは、過去の不正行為により米司法省に10億ドル以上の罰金を支払っている。