困窮者救済の市民団体アベピエール財団がこのほど、住居問題に関する年次報告書を発表した。マクロン政権の5年間で住宅難は悪化したと問題視する内容になった。
同財団の調べによると、国内には30万人のホームレスがおり、これを含めて厳しい住宅難に直面している人は410万人を数える。ホームレスの数は10年間で2倍に増えた。これに加えて、住宅が手狭である、暖房を十分に使えない、といった住宅関係の悩みを抱えている人は1000万人を超えるという。
報告書は政府の努力について、一定の評価を与えている。住宅提供を通じた社会復帰促進措置では、3年間に28万人に恒久的な住居のあっせんがなされた。非人道的な住環境の改善では、毎年2万戸弱の住宅が改修の対象となっているが、財団では、この種の住宅がまだ60万戸に上ることを考えると歩みが不十分だと指摘した。報告書はより大局的には、住宅関連の公的支出の対GDP比が、2017年の1.82%に対して、2020年には1.63%に後退したことを指摘。住宅補助手当APLの制度改正により、マクロン政権下で同手当の支給額が150億ユーロ近く減ったと指摘。低家賃住宅の建設予算も60億ユーロ削られたと問題視している。