2022年2月1日 編集後記

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

ポルトガルの社会党が総選挙で単独過半数を確保した。政治的な安定が経済や社会の安定化にも繋がることを期待したい。フランスには、ポルトガル人やポルトガル系フランス人がたくさんおり、パリはポルトガル人にとってリスボンと並ぶ第二の首都とすら言える。筆者もこれまでかなりの数のポルトガル人やポルトガル系と接する機会があったが、総じて性格の良い人が多い。これほど国外居住のポルトガル人が多数おり、また、欧州各国にポルトガル移民系国民が多数いるのは、残念ながら、本国ポルトガルが自国民に経済的・社会的な成功の機会を十分に提供できていないからで、先日の仏リベラシオン紙も自国に幻滅して他の国にチャンスを求める若いポルトガル人の例を紹介する記事を掲載していた。しかし、リスボンからほとんど出ることなく、プルーストやカフカと並ぶ20世紀の代表的作家となったペソアのような優れた前例もある(そういえば3人ともほとんど自分が住む都市の外に旅行しなかった点が似ている)。チャンスはどこにでも転がっているに違いない。それはともかく、ポルトガルは欧州統合による恩恵が大きい国の一つであり、筆者の知るポルトガル人は皆、明確な親欧州派だ(パリにいるポルトガル人だから、それも当然だが)。筆者自身は欧州連合(EU)のあり方に必ずしも賛同はできないが、彼らのことを考えると、EUも捨てたものではないな、とちょっと暖かい気持ちになる。