「ルノー・ゾエ」、欧州の自動車安全テストで最下位に

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欧州の自動車安全テスト「Euro NCAP」による2021年の衝突試験で、ともにルノー・グループに属す小型EVの「ルノー・ゾエ」と「ダチア・スプリング」が最下位にランクされた。ルノーとダチアの両ブランドはこの評価に疑義を呈した。
衝突試験の結果は以下で閲覧可能:
https://www.euroncap.com/en/ratings-rewards/latest-safety-ratings/#?selectedMake=0&selectedMakeName=Select%20a%20make&selectedModel=0&selectedStar=&includeFullSafetyPackage=true&includeStandardSafetyPackage=true&selectedModelName=All&selectedProtocols=41776,40302&selectedClasses=1202,1199,1201,1196,1205,1203,1198,1179,40250,1197,1204,1180,34736&allClasses=true&allProtocols=false&allDriverAssistanceTechnologies=false&selectedDriverAssistanceTechnologies=&thirdRowFitment=false
「Euro NCAP」の試験では最高評価が5つ星だが、「ルノー・ゾエ」は星がゼロ、「ダチア・スプリング」は1つ星という厳しい評価を受けた。またダチアの「ロガン」と「サンデロ・ステップウェイ」も2つ星にとどまった。合計で33車種が2021年の衝突試験を受け、ルノーとダチアのこれら4車種以外は全て4つ星以上で、22車種が5つ星を得ているだけに、「ゾエ」と「スプリング」の低評価ぶりが際立っている。なお、ルノー車では「カングー」が4つ星を獲得して健闘し、ルノーとアライアンスを組む日産の「キャシュカイ」は5つ星、「タウンスター」は4つ星だった。
「ゾエ」は2013年に発売され、過去には5つ星の評価を得ていたが、「Euro NCAP」によると、2020年の新型モデルに搭載されたエアバッグは従来のものより保護性能が劣るという。「Euro NCAP」は、「ルノー・ラグナ」が2001年に初めて5つ星を獲得した車種であることに言及しつつ、かつてのルノーは安全性の同義語ともいえるメーカーだったのに、電動化のコラテラルダメージで安全性が低下してしまったとコメントした。
これに対してルノー側では「ゾエ」はあらゆる安全基準を満たす安全なクルマだと言明。さらに、「Euro NCAP」の試験のプロトコルが2013年以来で5回も変更されており、同じ車種でも変更に伴って星を失うことがあると強調して、今回の評価に疑義を呈した。ただし、2022年3月1日以降は、現在はオプションのAEB(衝突被害軽減ブレーキ)をデフォルトで装備する予定だという。
2021年に発売され、欧州で最も低価格のEVである「スプリング」について、「Euro NCAP」は、正面からの衝突で運転者が胸部、後部座席の同乗者が頭部にそれぞれ重傷を負うリスクがあるなどと指摘し、明らかに問題が多いと評価。ダチア側は欧州の安全基準を満たして認証された安全なクルマだと反論した。ダチアはさらに、「Euro NCAP」で星を獲得するには、運転支援システムなどの装備や技術を追加する必要があるが、ダチアの顧客はそうした装備や技術の利用を望んでいないし、購入する資金力もない、と説明し、星取り競争に加わるつもりはないと強調した。