イメージチェンジを目指すダチア、「ジョガー」を披露

投稿日: カテゴリー: 欧州自動車・モビリティ情報

ルノー傘下のダチア(ルーマニア)は9月7日に開幕するミュンヘンモーターショーに新型MPV「ジョガー」を出品する。これは、ローコストメーカーというイメージの修正を目指すダチアの戦略を反映したモデルであると同時に、ルノーのデメオCEOの経営方針に沿ってモデルでもあるという。
ジョガーはファミリー向けMPVで、5人乗りと7人乗りのバージョンがあり、7人乗りバージョンでも、最後列の2人の座席はゆったりとしており、また、2列目と3列目の座席を折りたためば、1800リットル以上の収納スペースを確保できるなど、快適性に配慮した作りとなっている。
2022年2月に市場に投入される予定で、価格は1万5000ユーロから。ただし、従来のダチア車と違って装備品のオプション(シートヒーター、後方カメラ、死角検出システム、駐車支援システムなど)が豊富なのが特徴。これまでダチア車はともかく安いことが魅力だったが、ジョガーはもう少し価格を上乗せしても快適性を求める顧客層をターゲットとしている。またダチア車では初めて限定モデルを準備する。
ダチアは1999年にルノーの傘下に入って以来、欧州の低価格車メーカーとしての地位を確立することに成功した。設計段階において目標販売価格を考慮に入れるデザイン・ツー・コストの方法を取り入れ、装備品も最低必要限度にとどめ、ディーラーによる値引きは行わずに最初から競争力のある価格を提示するというビジネスモデルが奏功した。フランスでは法人向け市場では振るわないものの、個人向け販売ではトップクラスのブランドとなっている。ダチアは、市場で最安値というこの強みを維持しつつも、より利益の大きいモデルの投入により、新たな顧客層の開拓を進める方針であり、Cセグメントに製品の幅を拡大する方針で、2025年には大型SUVの投入も見込んでいる。
ダチアの責任者であるドゥニ・ルヴォ氏によると、こうした戦略は、今後の自動車市場の推移に適したものでもある。自動車の価格は電動化や排ガス規制の強化に伴ってますます上昇する見通しであり、自動車購入の支出を合理化する世帯が増えているので、ダチア車の価格の魅力が増すが、他方で、Cセグメント車を購入するような顧客層はクルマを社会的ステータスのシンボルと考えるメンタリティがあるので、ローコストのレッテルでそうした顧客層に敬遠されないように配慮する必要もあるという。そうした理由からダチアはロゴやエンブレムの刷新にも取り組んでいる。
またデメオCEOはダチアに対しても、製品ラインナップの整理を求めているが、ジョガーは生産が停止したか停止に向かっている「ロッジー」「ロガン」および「ドッカー」の3車種の後継車となる。
ジョガーに代表されるコスパが良くてしかもチープではないイメージを獲得することで、ダチアの法人向け販売も伸びる可能性がある。