ワクチン接種率に地域格差

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日刊紙ルフィガロは8月9日付で、ジャンジョレス財団がまとめたワクチン接種率の地理的格差に関する分析結果について報じた。この分析では、住民の年齢の格差を考慮に入れてワクチン接種率を補正し、細かい地域単位のワクチン接種状況を比較可能な形に数値化した。モンペリエ大学のエマニュエル・ビニュロン氏がこの全国ワクチン地図を作成した。基本的に、ワクチン接種会場までの距離が遠い農山漁村地方で接種率が低めであり、パリ首都圏など大都市では、接種率は所得水準が高めの地区ほど高く、低めの地区で低いという傾向が見受けられる。
こうした予想された傾向とは別に、地中海岸とその北側の山岳地方において接種率が特に低いという傾向がうかがわれる。ルフィガロ紙はこれについて、この地方では過去の歴史的な経緯から中央政府に対する反発の文化が根強く、これが接種率の低さを招いている可能性があると指摘。うち、山岳地方については、この地方には、自然派の食生活や代替医療を信奉する人が多く、この分野で影響力がある人物の多くがこの地方を拠点としているとも指摘。オーガニック農業と代替医療が普及している地域とも一致しており、これがワクチン接種を妨げる要因になっているとの見方を示した。ルフィガロ紙は、5G反対運動とも気脈を通じているとの推測を示している。地中海沿岸地方については上記の要因では説明がつきにくい。この地方は極右政党RNの支持率が高い地方であり、この地方では、RNの支持者におけるワクチン接種率が低いことが確認できるが、RNが強いほかの地方では、支持者におけるワクチン接種率の低さはそれほど目立たず、これは、RNの支持層にも地域ごとに違いがあることを示唆している。いずれにしても、「反システム」の考え方がワクチン接種を阻害しているものと考えられる。