「マリアンヌ」基金の不正疑惑、シアパ閣外相が批判の矢面に

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト

「マリアンヌ」基金を巡る疑惑が拡大している。提訴や国会調査委の設置申請の動きが相次いだ。
「マリアンヌ」基金は、中学教諭サミュエル・パティさんが2020年10月にイスラム過激派により斬首される事件が発生したのをきっかけに、政府が設立した。シアパ現社会連帯経済閣外相(当時は市民権担当相)が担当した案件で、250万ユーロを原資として、市民団体による過激化防止の対策を支援するため補助金を支給するという計画だった。この基金を巡っては、支援先が不透明だとする報道が去る3月末頃から出始めていたが、ニュース専門サイトのメディアパルトによる新たな報道で疑惑が一段と深まった。この報道によると、「マリアンヌ」基金は33万ユーロを設立間もない団体「Reconstruire le commun」に支給したが、同団体はその後、2022年の大統領選挙時に、マクロン大統領の対立候補であるイダルゴ氏(社会党所属、パリ市長)やメランション氏(左翼政党LFI所属)などを攻撃する動画を公表していた。公的資金を政治的目的のために流用した疑いがあるとして、当のイダルゴ氏は18日に被疑者不特定のまま提訴の手続きを取った。野党勢力は国会調査委員会の設置を請求する手続きを開始した。
シアパ閣外相への風当たりは特に強い。バラン報道官は、基金の運営は閣僚からは独立する形でなされていると述べて閣外相を擁護したが、事件の進展によっては進退を問われる局面になることも考えられる。