英国が1月9日に試みた初の衛星打ち上げが失敗に終わった。昨年12月にはアリアンスペースの新型ロケット「ベガC」の初の商用打上げも無惨に失敗しており、ロシアのソユーズとの提携も解消されたので、欧州の 衛星打ち上げ事業はお先真っ暗になってきた。米中ロの対立が強まる中で、欧州が独自の戦略と立場を維持するためには主権の強化が必要だとの認識が高まっているが、実際には宇宙開発でも主権を失いつつある。半導体、バッテリー、医薬品などの生産還流も掛け声は勇ましいし、大規模な投資も始まってはいるが、どこまで実効性があるのか危ぶまれる。こうした努力をよそに、フランスの論壇では、どんな偉大な文明も必ず滅びるときが来ると、すでに欧州の終焉を宣言する向きもある。そういう反省意識の強さこそが欧州の特徴でもあり、長所でもあるが、悲観論に耽溺しすぎることなく、もう一奮起してもらいたいものだ。新年でもあるので、今年が欧州の再生の年となることを(あまり過度に期待せずに)祈っておこう。