仏Cityscoot(電動スクーターのシェアリングサービス)はこのほど増資を実施した。RATP(パリ交通公団)傘下のファンド「RATPキャピタルイノベーション」とバンクデテリトワール(公営の地方金融銀行)が増資を引き受け、両者が合計で過半数資本を確保した。増資額は未公表。評価額を従来よりもかなり引き下げての増資だったという。
Cityscootは電動スクーターのシェアリングではパリで最大手だが、モビリティサービスの同業他社と同様、新型コロナウイルス危機で大きな打撃を受けた。同社は、民事再生手続きを経て債務の整理が一段落しており、今回の増資により足元を固めて巻き返しを図る。創業者社長のフルローズ氏は取締役に退き、代わって総支配人を務めていたアルトマイヤー氏が社長に昇格して立て直しを指揮する。
同社は危機前には国際展開(イタリア、スペイン)を進めていたが、スペイン・バルセロナからは既に撤退しており、本拠のパリでの利益率改善を通じた業績改善に取り組んでいる。スクーターの数を減らし、配置場所を見直すなどして稼働率を高め、費用を減らして利益を最大化することを目指している。
パリ市は、電動スクーターのシェアリングについて、入札を経て事業者数を3社に絞り込むことを予定しており、その結果が2023年初頭にも発表される。同社は売上高の8割をパリで達成しており、入札に敗れた場合には後がない。アルトマイヤー社長も、その場合には「店を畳む」と述べている。RATPキャピタルイノベーションは、出資したのは入札における勝利を確信しているが故だとして、CityscootとRATPの事業の補完性を十全に引き出すことを目指すと説明している。