地域により事情は異なるだろうが、フランスの北部では9月の中旬から気温がめっきり冷え込んできた。しばらく前までは、繰り返される猛暑と異常な乾燥に悩んでいたのに、いきなり暖房が欲しい季節が到来して、ガス代や電気代の高騰が心配になってきた。2020年代が歴史の中でなにか特別な時期だったのかどうかは数十年後に振り返ってみないと判断できないが、新型コロナウイルス、ウクライナ危機、異常気象が重なっただけでもすでになかなか凄いと言えるだろう。新型コロナウイルスを世界に広めたのは中国、ウクライナ危機を招いたのはロシアで、共産主義は不幸しかもたらさないと言いたいところだが、気候変動に関しては米国をはじめとする資本主義諸国と中国のいずれにも責任がありそうだし、この場合の中国はむしろ盲目的な資本主義経済の暴走に近いから、資本主義も大いなる不幸をもたらすと言っておかなければなるまい。これにある種の宗教的狂気(まだ命が惜しい筆者としては、どの宗教かは怖くてとても明示できない)による人権侵害やテロが加わって、2020年代はとても暗い10年になりそうだが、少し希望が持てそうなのは、若い人々の鋭敏なエコロジー意識だろうか。筆者のように子供のいない老人も、老いては子に従え、という行動指針を採用すべき時が来た気がしている。