イタリア・アルプスで氷河の崩落が発生し、数人の死者が出た。その一方で、イタリアは異常な干ばつにも見舞われている。氷河の後退は以前から観察されてきた現象だが、太陽光を反射する白い氷河が消えて、茶色の山肌が露呈すると、太陽熱を吸収しやすくなるため、高山地帯の温度は急速に上昇するという。それが氷河の溶融を加速させ…という具合に悪循環に突入することになる。類似の問題は極地やシベリアなどでも起きている。状況は刻一刻と悪化しており、地球人の喫緊の課題は温暖化対策であろうと思うが、現実にはウクライナ危機などの影響で石炭炊き火力発電が増えたりしているのだから政治はままならない。食糧危機も発生し、この際だから、いっそのこと適度に餓死者などが出て世界人口も減ったほうが、自然の調整メカニズムが働き、環境問題にはプラスかも知れないなどと不謹慎なことすらふと考えてしまう。筆者には子どもはいないが、若い世代の将来や、これから生 まれてくるさらに若い世代が直面するだろう諸問題について全く考えないわけではない。世界が一丸となって高い目標に向かって努力する、というような夢物語を信じるにはあまりに年を取りすぎたが、今のような世界を未来の世代に譲り渡すことには忸怩たる思いがある。そういう思いを共有する人が多いなら、まだ希望はありそうだが、筆者のように現実には無力な人間ばかりなら、それも虚しい希望だと言わざるを得まい。ともかく不安、である。これには多くの人が賛同してくれるだろう。