2022年4月26日 編集後記

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

フランスの大統領選挙で中道のマクロン大統領が再選されたものの、極右のルペン候補が40%以上の得票率を記録し、極右候補として過去最高を達成した。第一回投票では左翼ポピュリストのメランション候補が20%以上の得票率でルペン候補に僅差で敗れたが、総選挙での巻き返しを目指している。こうした状況を「フランスの分断」がいっそう深刻化した証拠と受け止める向きもある。マクロン大統領が伝統的な保革の対立図式を無効化させる形で中道に吸収してしまった結果、吸収されなかった層が左右両極に引き寄せられて、3極化の構造が際立った。これはある程度まで想定内の現象に違いないが、およそ実現可能性のなさそうな政策案を掲げる左右両極のリーダーを支持する有権者がこれほど多いのは、鬱積した社会不満・不安の強さを反映しているのだろう。若い政治家が強いリーダーシップを発揮することが稀な国から来た人間としては、若くて頭が切れてハンサムな大統領がいることの幸運を、もっと評価してはどうか、とも思うのだが、そうもいかないのが、分裂と対立が国民のスポーツであるフランスという国の運命なのだろう。フランスでは政治はロマンチックなのだ、と誰かが言っていたが、そのとおりだ。やれやれ。