ユジーヌ・ヌーベル誌は、ルノーのロシア事業について、同社の労組CGTのローラン・ジブロ書記、エコノミストのベルナール・ジュリアン氏、金融アナリストのフィリップ・ウショワ氏などの見解を紹介した。
ジブロ氏は、ルノーの自動車部門営業利益の半分をロシア事業がもたらしていることを指摘し、ルノーはロシア事業なしには立ち行かないと危機感を表明している。ジュリアン氏は、デメオCEOが国際事業の優先課題をどのように決め直すかが注目されているが、欧州と北米のみを優先する可能性は誰も予測しておらず、新興国での事業が重要であり、長期的に見ると、ロシア、インド、中国で市場の成長が見込まれると判断している。これに対してウショワ氏は、ルノーがロシアで数十億ユーロを投資して老朽化した工場を刷新したことに批判的で、中核事業の業績が強固な企業であれば、即座に利益が得られない長期的プロジェクトに投資することも許されるが、ルノーは中核である欧州事業の収益性を安定化させることが一度もできなかったと手厳しい。
ジュリアン氏は、ルノーがアフトワズに関連した販売数と利益を失った場合、アライアンスの利益における力関係で日産自動車への依存度が強まると予想。ウショワ氏も、日産の国際事業は米中の両市場のおかげで、エクスポージャーの質が良く、逆にルノーの国際事業では欧州が構造的な衰退期にあり、新興国での事業はリスクが大きいと、ルノーと日産の不均衡を強調している。同氏は、金融市場は従来からルノーが資本金の余裕を確保するために日産への出資を減らすべきだと判断してきたが、ルノーは欧州事業を安定化させることができない限りは、冷静にそのような決定を下せないとも指摘。なお、ルノーは日産との相互出資を変更する予定はないとしている。
ただし、ジブロ氏はルノーの資金力に困難があることを認め、ルノーは単独では新製品開発に充当するだけの資金がないので、パートナーの協力を必要としていると強調。ウショワ氏も、ルノーの戦略的な独立性がかかっていると警告した。
ジュリアン氏は、ルノーの財務を改善するための手段として、国が出資率を引き上げる可能性も示唆している。ルノーがフランス北部で大掛かりなEV事業拠点を展開していることを考慮とすると、国が出資を増やして支援することにも正当性があるという。