会計検査院は7日、国による企業への出資に新型コロナウイルス危機が及ぼした影響に関する評価報告書を公表した。国は、APE(国家出資庁)を通じて戦略的企業等に直接に出資しており、これに、政策金融機関のCDC(預金供託金庫)とBPIフランス(公的投資銀行)を通じた公共部門による出資が加わる。会計検査院の報告は、この3者による出資にコロナ危機が及ぼした影響を対象にした。
会計検査院は、危機の下で公共部門は迅速に、大規模な資本の投下を実施したと指摘。エールフランスKLM、ルノー、EDF(仏電力)、仏国鉄SNCFへの支援を例に挙げた。この分野における危機に伴う公共部門の費用総額は推計で155億-200億ユーロに上る。その内訳は、支出が41億-86億ユーロ(範囲の設定に応じて推定額が異なる)、受取配当金の逸失分が24億ユーロ、資産売却が90億ユーロとなる。資産額の目減り分の推計を立てるのはより微妙だが、出資率に応じて比例計算すると2020年に110億ユーロ程度となる。資産額は特にAPEで8%減(86億ユーロ相当)と後退が大きかった。長期的な影響について、会計検査院は、APEにおいて特に、出資先企業の資本増強の需要がまだ大きいと指摘。エールフランスKLMを例に挙げて、債務水準が高く、国の支援がなければ市場でリファイナンスを行うのに困難を覚える企業が出資先に多いと指摘。DXやエネルギー移行の支援などの必要性についても指摘した。報告書は、国による介入の理由を明確に定めて、投入可能なリソースについてあらかじめ定めるという形での戦略の明確化を図るべきだと勧告。APE、CDC、BPIフランスの間の役割分担の明確化も必要だとした。