機械翻訳と翻訳者による翻訳の違い
近年のITの発達はめざましく、機械による翻訳も原文の内容によってはかなりの精度を発揮するようになりました。Google翻訳をはじめ、イ ンターネット上で無償で提供されている自動翻訳ツールはいくつもあり、外国語の情報を一瞬で日本語やその他の言語に翻訳してくれる便利な存在となっています。ビジネスにおいても、ちょっとした調べ物にGoogle翻訳を使ったことのある人は多いのではないでしょうか。
それでは、フランス語の文章を日本語に翻訳したい場合、これらの自動翻訳ツールはどの程度信頼できるものなのでしょう。翻訳したい文章のレベルに従って、見てみましょう。
【自動翻訳ツールで、フランス語の文章を日本語に翻訳した場合】
1)百貨店「ギャラリーラファイエット」のサイト案内文
RÉSERVEZ EN LIGNE, ESSAYEZ EN MAGASIN, CRAQUEZ
オンラインで予約、店舗で試す、試す
VOUS AVEZ LE DROIT DE CHANGER D’AVIS
あなたには自分の考えを変える権利があります
FAITES-VOUS LIVRER SIMPLEMENT
簡単な配達
PLUS VOUS ÊTES FIDÈLE, PLUS VOUS AVEZ D’AVANTAGES
あなたが忠実であればるほど、あなたはより多くの恩恵を受けます
これはGoogle翻訳による翻訳です。
どの文章も、日本の百貨店のサイトにそのまま載せることはできませんが、意味がきちんと分かるという意味では、合格と言えます。
4番目の文章も、日本のサイトでこんな文章を目にすることはないかもしれませんが、メンバーシップ特典のことを言っているのだろうと目星はつきます。
誤訳は、最初の文章で「CRAQUEZ」が「試す」と訳されている部分だけです。その前の部分に「店舗で試す」とあるので、なんとなく変だなあと思うかもしれません。フランス語の動詞「craquer」には話し言葉で「(欲求に)負ける、屈する」という意味があり、この文脈では「(気に入って)買う」という意味になります。ショッピングに関連してよく使われる表現です。
2)パリ市の市民講座「外国人向けフランス語」の案内文
Public :
Toute personne non francophone ayant été scolarisée jusqu’à l’âge de 16 ans minimum dans son pays d’origine.
Ces cours s’adressent tout particulièrement aux personnes qui pour des raisons professionnelles et/ou personnelles – séminaires, conférences, déplacements ou installation en France – doivent, dans de brefs délais, comprendre et s’exprimer en langue française.
聴衆 :
母国で最低 16 歳までの教育を受けている、フランス語を話さない人。
これらのコースは、特に職業上および/または個人的な理由 (セミナー、会議、旅行、またはフランスへの定住) のために、短期間でフランス語を理解し、話さなければならない人を対象としています。
これはGoogle翻訳による翻訳です。
かなり正確に訳されており、日本語の案内として十分に通じるレベルです。敢えて言えば、直訳で「聴衆」と訳されている「public」は「参加者」あるいは「対象」などとするのが自然ですが、文章を読めば理解できますので、必要であれば簡単に手直しできます。
3)フランス政府サイトのエネルギー移行税額控除「CITE」に関する説明
Logements éligibles au CITE
Pour les dépenses payées en 2020, vous devez remplir des conditions de ressources pour bénéficier du CITE excepté pour les dépenses d’acquisition de systèmes de charge pour véhicules électriques. Par ailleurs, les logements doivent satisfaire à certaines conditions. Ces conditions sont détaillées ci-après.
CITEの対象となる住宅
2020 年に支払われる費用については、電気自動車用充電システムの取得費用を除き、CITE の恩恵を受けるには、資力調査済みの条件を満たす必要があります。 また、宿泊施設は一定の条件を満たす必要があります。 これらの条件については、以下で詳しく説明します。
L’habitation principale
Pour ouvrir droit au crédit d’impôt, le local dont vous êtes propriétaire et dans lequel les travaux d’installation ou de remplacement des équipements éligibles sont effectués doit avoir la nature d’un logement au sens des dispositions du code de la construction et de l’habitation et être affecté à votre habitation principale.
母屋
税額控除の資格を得るには、あなたが所有し、適格な機器の設置または交換が行われる施設は、建設法および家の規定の意味の範囲内で住宅の性質を持ち、あなたの主要な家に割り当てられている必要があります。
これはGoogle翻訳による翻訳です。
これまでの例よりも少し複雑で専門性のある文章になると、機械による翻訳は、不的確な訳語が散見され、「なんとなく意味は分かるけれども正確性に欠ける」レベルになります。
「資力調査済みの条件」と訳されている「conditions de ressources」は「所得に関する要件」のことですが、フランス語が分からなければ、すぐには推定できないかもしれません。また、「母屋」「主要な家」と訳されている「votre habitation principale」はセカンドハウスや別荘、賃貸用物件ではない本宅のことです。
上の機械翻訳に翻訳者が手を加えると、次のようになります。
CITEの対象となる住宅
2020 年に支払われた費用に関して税額控除を受けるためには、申請者は所得に関する要件を満たしていなければなりません。 電気自動車用充電システムの取得費用に関しては、この限りではありません。
また、CITEの対象となるためには、当該住宅が一定の条件を満たしている必要があります。 これらの条件については、以下で詳しく説明します。
本宅
税額控除の資格を得るには、対象となる設備の設置または交換が行われる物件が、建築・住宅法典の定めるところの住宅であり、申請者が所有し、居住する本宅でなければなりません。
4)ルモンド紙記事「コンクリート大手、木材部門に進出(Les géants du béton cherchent leur place au sein de la filière bois)」の抜粋
Avec la nécessité de décarboner les villes d’ici 2050 – ce qui signifie des bâtiments plus sobres en énergie et une réduction massive des émissions de CO2 au moment de la construction –, l’intérêt pour la filière bois, qui fait encore figure de niche au pays de Le Corbusier et des frères Perret, ne cesse de grandir chez les géants français du béton. Plusieurs signes récents traduisent une évolution du secteur.
2050 年までに都市を脱炭素化する必要があり、これは、よりエネルギー効率の高い建物と建設時の CO2 排出量の大幅な削減を意味します。兄弟は、フランスのコンクリートの巨人の間で成長を続けています。最近のいくつかの兆候は、このセクターの進化を示しています。
Le dernier en date est l’annonce, jeudi 3 juin, de l’arrivée du groupe Eiffage parmi les souscripteurs du nouveau Fonds bois et éco matériaux lancé par Bpifrance fin 2020. Ce fonds, le troisième du genre, doté désormais de près de 80 millions d’euros avec les 8 millions d’Eiffage, vise à soutenir une filière industrielle dite « à fort potentiel ». Mais qui gagnerait à être plus structurée si la forêt française, quatrième d’Europe, doit contribuer à réduire l’empreinte carbone du secteur du bâtiment et à créer des emplois non délocalisables.
最も最近の発表は、6 月 3 日木曜日、2020 年末に Bpifrance が立ち上げた新しい木材および環境材料基金の加入者の間で、エファージュ グループが到着したことの発表です。は、800 万エファージュで約 8000 万ユーロを所有しており、
「高い可能性がある」として知られる産業部門を支援することを目指しています。しかし、ヨーロッパで 4 番目に多いフランスの森林が、建設部門の二酸化炭素排出量を削減し、移転できない雇用を創出しなければならない場合、より構造化された恩恵を受けるのは誰でしょう。
これはGoogle翻訳による翻訳です。
新聞記事のように、文章構成が複雑で、フランス語の文章に特有の言い換え(「ル・コルビュジエとペレ兄弟の国」=フランス)が出てくるような文章になると、翻訳における不正確な部分が増えます。正確に翻訳されている部分と、日本語として意味が通らない文章や誤訳が混在し、全体としての正しい理解が妨げられます。
上の文章を翻訳者が翻訳すると次のようになります。
2050年までに都市の脱炭素化を実現するためには、エネルギー効率のより高い建物と建設時のCO2排出量の大幅な削減が必要であり、コンクリート大手の間で、これまでフランスではニッチな市場であった木材建築に対する関心がますます高まっている。最近、業界の進化を示すいくつかの兆候があった。
その中でも最新のものは、2020年末に公的投資銀行のBPIフランスが新しく立ち上げた「木材・エコ素材ファンド」にエファージュ・グループが出資するという6月3日の発表だ。この種のものとしては3番目となる同ファンドは、エファージュの800万ユーロを含めて約8000万ユーロを原資に、木材部門という、いわゆる「成長可能性の高い」産業部門を支援することを目的とする。欧州で第4の規模を誇るフランスの森林が建設部門におけるCO2排出量の削減と国外に移転不可能な雇用の創出に貢献するためには、木材部門はさらに組織化を進めることを求められるだろう。
以上、異なるレベルのフランス語の文章を機械で翻訳した実例を挙げ、翻訳者による翻訳と比較する形で、その信頼度を検証しました。
自動翻訳ツールは簡単な文章であれば驚くほど正確に訳してくれますが、構文が複雑で、専門用語やフランス語特有の言い回しが多くなると、精度がグッと下がることが分かります。ちょっとした調べ物に利用するには便利ですが、翻訳の正確さを確認し、日本語として自然な言い回しの文章にするには、今のところ、人間によるチェックが欠かせません。また、文章全体に整合性を持たせるために、機械による翻訳の語彙等を一部訂正するにとどまらず、一から翻訳をやり直さなければならない場合もあります。
いずれにしても、利用者にとってまずは「この翻訳文が正しいか否か」を判断することが重要になりますが、そのためにはある程度の語学力が必要となります。そして、正確さが要求されるビジネスシーンにおいては、機械翻訳は今ひとつ信頼性に欠け、フランス語の文書を翻訳するのであれば、やはり翻訳者の手が必要になると言わざるを得ないでしょう。
KSM News & Researchでは、機械翻訳では十分に対応できないフランス語・英語の文書を正確で自然な日本語でお届けする質の高い翻訳サービスを提供しております。
無料お見積り・お問い合わせはこちら
新規のお問い合わせ、サービスについてのご質問など、お客様からのご相談を受け付けております。
また、翻訳・通訳のお見積りを無料にて承っていますので、初めての方もお気軽にお問い合わせください。