国が保有する株式を管理するAPE(国家出資庁)は26日、2020年の活動報告書を公表した。
APEは、83社の企業(上場、非上場とも)の株式を管理している。2020年の受取配当金の額は3億ユーロとなり、前年の23億ユーロと比べて大幅に後退した。危機前の2019年分の利益に対応する配当金ではあるが、APEは出資先の企業の財務支援を優先し、多くの企業で配当金を返上しており、その影響が出た。含み益と配当を含めた運用利益は2020年に4.6%の減少を記録した。なお、過去10年間の年間平均の運用利益率は4.7%だった。
APEは、出資先の上位18の大手企業における投資額の減少幅は2020年に40億ユーロにとどまったと指摘。出資先の企業が堅実に事業を展開していることを強調した。
危機にあわせて、APEは運営方針を修正し、それまで進めていた資産の整理を休止し、経営難の企業の支援に向けた積極姿勢に転じた。出資のための200億ユーロの予算が設定され、うちエールフランスKLM(36億ユーロ)、国鉄SNCF(40億ユーロ)、EDF(10億ユーロ)の3社に90億ユーロ近くが注入された。APEは、エールフランスKLMやSNCF、民営化が断念されたADP(パリ空港会社)など戦略的に重要な企業について、長期的な観点から株主として支援を続けると説明している。