有名人降臨

投稿日: カテゴリー: 大熊猫集団の井戸端会議

フランスに来て驚いたことは数多いが、その一つが、有名政治家に道端で出くわす頻度が日本に比べて高いことである。勿論、それは毎日というのではないけれど、筆者の経験で言うと、ジャック・ラング元文化相、グザビエ・ベルトラン・オードフランス地域圏議長や、先日鬼籍に入ったリオネル・ジョスパン元首相、シラク大統領の夫人であるベルナデット・シラク氏など。これは特に演説を聞きに行った、とか、政治的行動をしているところにぶつかった、という訳ではなく、本当に偶々街を歩いていたらいきなりジョスパン氏が大股で赤信号を横切っていった、とか、シラク夫人がパンを買うために並んでいた、とか、そういう経験で、個人的には、日本でまるでそうした記憶がない。勿論ほとんどはパリにおいての経験だったが、ラング氏の場合マルセイユの町中を歩いていたら向こうからにゅっと同氏が現れて仰天したものだった(これは何故か分からないが、ある同僚は「ラングにはよく出くわすんです!」と言っていた。皆さんも注意していると目の前に同氏が降臨するかもしれない)。政治家のセキュリティもよほど中枢にいない限りは高くないのかもしれない。また、これは世界どこでも同じだろうと思うが、地元とのつながりを大事にして歩き回る政治家が多いのだとも考えられる。中部コレーズ県の県庁所在地チュル(Tulle)に行った時、地元の人は同市選出のオランド前大統領を「時々町中の本屋で見かけるよ」と語ってくれた。
そして、当然ながらパリが首都とはいえ東京に比べたら大きな都市ではなく、人の集中する部分が限られていることも関係しているだろうと思う。政治とはまったく関係がないが、もう大分昔のこと、某ラーメン店に行ったところ、ある著名な日本人アーティストが「さあ、どんどん食べてくださいよ!」と隣の席で気さくに話している場面を見かけて好感を受けたこともある。これも、日本ではまったく経験がないことであった。これまたもう20年以上前のことだが、オペラ座で観劇をしていたら、幕間に隣の人が「こんばんは。今日のオペラは素晴らしいですね。私は昨日はミュンヘンで『トリスタンとイゾルデ』を見てきたんです。ところで、私は、wikipediaに名前が載っているんですよ」と話しかけてきたこともあった(当時はwikipediaも目新しさがあったのである)。しかし、あれは一体全体誰だったかしらん。確かに名前が掲載されているところまでは確認したのだが、どうも今となっては記憶が定かではない……。