筆者が学生だった頃、フランス語学習用のテキストに『Douce France(優しき国、フランス)』という歌の歌詞が載っていた。「兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川」みたいな内容の歌なのだが、フランスでは、結構有名な歌らしい。フランスが本当に「優しき国」なのかどうかはさておき、フランスが住みやすい国であろうことは間違いないところだろう。何と言っても、フランスでは自然災害が少ない。地震も台風もないし、火山の噴火もない。洪水はあるが、日本でのように急激な増水により多数の死者が出ることは稀で、どちらかというと物的被害の方が大きい。フランスでも嵐はあるが、台風や集中豪雨で避難したことのある筆者から見ると、かわいいものだという気がする。また、日本よりもかなり北に位置するのに、気候も比較的温暖で、冬もそれほど寒くはない。筆者が住んでいる南部では、地球温暖化の影響か、近年は真夏には40度を超えることもしばしばあるが、通常ならそれほど暑くはならず、湿度が低い。たとえ気温が40度になっても、日本の夏とは比べようもなく過ごしやすい。筆者では、日本の夏はもう耐えきれないのではないかと思う。その上、国土が広く、人口が少ないので、広々としており、その点でも、ストレスは小さそうだ。そうは言いつつ、様々な調査を見ると、フランス人達は、人間関係などで毎日の生活にストレスを結構感じているという。結局、「優しき国」も人間関係次第なのかもしれない。などと思っていた時が筆者にもありました。上のようなことを書いたのは、編集後記という枠なのにもかかわらず、ずっと前のことで、その当時は、今夏の酷暑はまったく予想外だった。今回の酷暑を見ると、フランスはもはや「優しき国」ではなくなってしまったような気がする。このままでは、欧州にまでハリケーンが到達したり、地中海熱帯性低気圧(メディケーンと呼ばれる)が頻繁に発生するような状況が生まれるかもしれない。困ったことである。