台湾侵攻は遠くなりにけり?

投稿日: カテゴリー: 大熊猫集団の井戸端会議

筆者はこれまで、プーチン露大統領やトランプ米大統領によるウクライナやイランへの攻撃が中国による台湾侵攻に引き金になるのではないかと思っていた。中国からすれば、よそも同じことをしてるじゃないか、どこが違うのだと言えるからだ。ところが、ロシアはウクライナの予想外の抵抗に遭遇した挙句、ウクライナのロシア領内へのドローン攻撃により自国内への攻撃を被る事態となっている。一方、米国はと言えば、イスラエルと共に、イランの最高指導者の抹殺には成功したが、イラン体制の転覆に失敗した上、ホルムズ海峡封鎖というイランの最終兵器により早期決着というあてが外れ、終わりなき戦争に引きずり込まれる可能性が高まりつつある。このような米露の状況は、中国に漁夫の利をもたらしていると思われる。実際、現状では、ロシアは中国の属国に近いのではないか。その一方で、このような状況は、中国が台湾侵攻には慎重にならざるを得ないという状況ももたらしていると見ることもできる。米露の現況を見ると、中国指導部も、容易には台湾侵攻はできまい。台湾からの頑強な抵抗に遭う可能性は無視できないからだ。ロシアは、ウクライナでの戦術核使用の可能性を繰り返し示唆しているが、同じスラブ民族であるウクライナへの核使用など、ロシアの大義である汎スラブ主義に真っ向から反することであり、まず不可能だろう。同様に、中国も、「一つの中国」の筈の台湾に核攻撃などできるわけがなく、通常兵器による早期制圧とならざるを得ない。しかし、台湾からの頑強な抵抗があれば、戦いは泥沼化する可能性もあり、それこそ「一つの中国」という大義に傷がつきかねない。そして、独裁体制の下では、敗戦や軍事的失敗は、多くの場合、終わりの始まりである。それは、習近平首席もよく知っていることだろう。もちろんプーチン大統領もそれはよく知っているので、彼にとっては、ウクライナ戦争は、「特別軍事作戦」から「負けられない戦い」へと変容している。トランプ大統領の場合は、「独裁者」と言っていいのかどうか微妙なところなので、多少事情は違うが、イランでの戦争は大きな重荷となっていると思われる。