ワールドカップと二つのネーション

投稿日: カテゴリー: 大熊猫集団の井戸端会議

先日、フランス人、ベルギー人から構成される家族と話す機会があった。サッカーワールドカップ、昨日のベルギーの試合には失望していないかい、どうも調子が上がらずに引き分けだったようだけれど、と聞いたところ、二人とも「まったく関心がないので、その結果すら知らなかった」との答えであった。
しかし、とフランス人女性が語ってくれたのは、1998年のフランス大会のことだ。「あの時、私はネーションというものを理解したの」。当時、また小学生だった彼女は、フランスがブラジルを下して初優勝した決勝のこと、というより、その時に生まれた、集団的な陶酔感のようなものを鮮明に覚えている、という。筆者も、これに似た証言を過去に聞いたことがある。ある仏人は、「1998年の後数年は、なんだか仏経済も上手く行っていた気がする」と語っていた。1998年は、フランスにとって初優勝というだけでなく、ホームでの勝利ということもあったのかもしれない。このような感覚の経験は、2018年のロシア大会優勝の際にはまるで聞いたことがない。
ちなみにね、と真顔でブラックジョークばかり言うベルギー人男性が言う。「ベルギーは数年前に準決勝にまで到達したのだけど、その時人々は歓喜を持って、というよりも、『そんなことがあり得るのか!?』という驚愕を持ってそれを眺めていたよ」。国民国家的な統一感なんて皆無だった、という。なお、これはやはりロシア大会でのことで、ベルギーはフランスに敗れたのだった。