Gesänge der Frühe

投稿日: カテゴリー: 大熊猫集団の井戸端会議

筆者は日本にいる時から寒さが大変苦手だ。フランスに来てからもそれは変わらず、毎年冬を越すことに大変難儀する。そして、冬が終わると、言い知れぬ喜びを感じる。
フランスで、そうした幸せな感情を私にもたらしてくれる春の使者ともいえる存在が、まだ日も明けぬうちから美しい声で囀るクロウタドリ、フランス語でメルル・ノワール(merle noir)である。まだ目覚める前の街の静寂な空に響き渡る鳴き声はとても変化に富んだ幻想的なもので、朝4時に起こされても、うとうとしながらついつい聞き入ってしまう。そのコーラスは一時間ほど続いてパタリと止む。再び静けさが戻っていき、次第に車の音やトラムの音が遠くから聞こえてくる時間になる。
歌うのはクロウタドリのオスで、日中、夕方にも歌う。テリトリーを主張したり、メスを惹き付けるための歌であるようで、各個体が個性的な歌を歌うのが特徴だ。上に書いたように、歌い始めるのは朝4時頃と非常に早い時間なのだが、これは都市における生活に適応したという意味もあるのだそうだ。まだ太陽は出ておらず、鳥達は辺りを見分けることはできないため、食事にありつくことはできない。しかし、地平線から微かな日の光を感じ取って彼らは目を覚まし、それから日の出までの時間、すなわち、まだ、人間が起き上がらず、街が人工物の騒音に埋め尽くされる前の時間を囀りを通じたコミュニケーションに充てるのだという。その歌を楽しめるのは、6月まで。残りあとわずかである。