欧州委員会は6月3日、「欧州技術主権パッケージ」の一環として、「エネルギー分野におけるデジタル化とAIに関する戦略的ロードマップ」を公表した。
データセンターを持続可能かつ透明な形でエネルギーシステムに統合するとともに、スマートメーターの導入加速など、デジタル・AIソリューションの利用促進によって欧州の電力インフラを改善することが目的。欧州連合(EU)域内におけるデータ共有の枠組みの整備も推進する。
欧州委によれば、需要側のフレキシビリティ供給によって、EUの消費者が負担する電力コストを年間710億ユーロ超直接的に削減することが可能。産業にとっては、デジタル化によって効率が高まり、価格シグナルへの対応が容易になる。
本ロードマップのイニシアティブの一つとして、エネルギーおよびデータセンター部門の14の業界団体が、データセンターの持続可能な統合に向けた協働に関する意図表明文書に署名。欧州委は、系統運用者や研究機関を含む48のパートナーと、EUの主権AIモデルを共同開発するための「AI.grids」プロジェクトも立ち上げた。
サイバーセキュリティ上の懸念に関しては、欧州委は、EU域内の太陽光・風力発電設備についてサイバーセキュリティの観点を含めたリスク評価を行っていると説明。高リスク国産の太陽光発電インバータを採用するプロジェクトに対するEU資金の交付も制限している。欧州委は、サイバーセキュリティ法の改正においてEU域内における高リスク国製インバータの使用を禁止する枠組みを整備するほか、AI法の改正案においてエネルギー分野におけるAI応用をテスト・検証するためのAI規制サンドボックスも提案している。