ラジオおじさんとシティポップ

投稿日: カテゴリー: 大熊猫集団の井戸端会議

日本では絶対に見かけないが、フランスでよくある光景として、「大音量のラジオを持って町中を闊歩しているおじさん」というものがある。一体どこから現れてどのような暮らしをしているのか、その生態はまったく不明だが、周りのことは全く気にせず大きな音で音楽を流しながら歩いている、どこの大都市にも一人はこうした名物おじさんがいるものである。筆者はこうしたおじさんを見かけると、町中で怖い犬に出会った野良猫よろしくコソコソと別方向に歩き去るのが常である。
さて先日、この変型版でラジオを持って音楽を流しながら自転車に乗っている、ドレッドヘアでレゲエ風ファッションのおじさんに出くわした。いつもはこうした状況下で真っ先に逃げ道を探す私がおや、と思ったのは、そのラジオから「これが最後かしら~♪」という日本語の歌詞が聞こえてきたからである。
おじさんに聞く勇気はなかったので、家に帰って調べて見たところ、これは大貫妙子の1978年発売の『Mignonne』というアルバムに収められた『4:00A.M.』という曲で、坂本龍一が編曲で参加しているそうであった。そういえばしばらく前に日本の1970年代終わりのシティポップが今になって世界的にブレイクしている、とは少しばかり聞いていたものの(『4:00A.M.』も大貫妙子のYoutube公式チャンネル https://www.youtube.com/watch?v=_sOKkON_UnQ&list=OLAK5uy_lstRc2ioHgTbZ8NNfwM69httTVlpiulgU&index=8 で視聴数が6200万回を超えている)、こういう形でその浸透ぶりに出会うとは思わなかったことである。意外な発見をさせてくれたレゲエおじさんにはありがとうと言いたい。いつも避けてばかりでごめんなさい。
なおフランスでは、ストラスブール出身のグループFunkindustryが、シティポップへのオマージュ『Midnight City Lovers』というアルバムを日本のミュージシャンと共同で作成し、2023年に発表して、日本でもツアーも行ったそうである。