フランスではホームレスの人々を見かけると、ほぼ必ず犬を連れている。また、犬を飼っている筆者の友人達は、庭がある場合でも、犬を屋外の犬小屋では飼わず、屋内で一緒に暮らしている。とにかく人と犬の距離が近いのだ。日本でも同じようなものなのかもしれないが、犬は家族の一員のように見える。これはなぜかと思っていたところ、フランス人は、日本人よりも狩猟民族の特徴をより残しており、犬は、かけがえのない狩猟の友だったからではないかというのを、どこかで読んだ。箸が鳥のくちばしに想を得た草食的なものであるのに対し、フォークとナイフは爪と牙を模した肉食的なものだと言えないこともない。フランス人は、基本的には肉食である狩猟民族なのだろう。もちろん猫好きな人も多いのだろうが、筆者には、なぜか犬好きの方が多く見える。筆者の印象には歴史的背景もあり、キリスト教において、中世ヨーロッパでは猫は悪魔の化身で、忠実さの権化である犬とは対照的なものと見做されたという。そのため、迫害されたこともあり、中世ヨーロッパでのペストの大流行は、ペストを媒介するネズミの天敵である猫が減っていたからだという説もある。
小さい頃に犬に噛まれたことがある筆者はどちらかというと猫派なのだが、人が猫を飼っているのではなく、御猫様が人間に身の回りの世話を許して遣わしているのだという説にもかなりの信憑性があると思っている。知人の猫を昔預かったことがあるのだが、真夜中に食事をお望みの御猫様に猫パンチで起こされたのは今でも忘れられない思い出だ。猫は、猫同士では「猫なで声」は使わないらしく、あれは、人間を操るために習得した秘密兵器らしい。皆様もあまりに気持ちが良すぎる声や言説には気をつけましょう。