筆者は、フランスの地方都市に住んでいるので、パリと比べるとどうしても流行などが伝わるのが遅く、パリでは結構前から見かけていたラーメン屋が初めてできたのは数年前だった。それ以来、筆者が知ってるだけで5軒ほどにまで増えたが、中でも「九州ラーメン」という店は、豚骨ラーメンではないにもかかわらず、結構繁盛している。筆者も、どのラーメン屋にも一度は食べに行ったのだが、美味しい美味しくないは別として、それ以来食べに行っていない。理由は簡単で、餃子3個付きであっても一杯で15.9ユーロ(本稿執筆時の相場では2935円)もするラーメンを食べる気にならないからだ。フランスでは、レストランに行けば15ユーロぐらい支払うのは普通なので、フランス人達は、ラーメンというまだ珍しい料理を食べるのに15ユーロ支払うのに抵抗は感じていないように見えるが、筆者のようにラーメン一杯1000円でも高いと感じる人間には、まったく食べる気がしない。この前は、スーパーにおにぎりが1個4.5ユーロ(830円)で売っていた。おにぎりはラーメンよりもさらに珍しいとは言え、こちらは食べてみる気にもならなかった。このように、日本とフランスでは、ものにもよるが物価水準がまったく違う。筆者は、1989年というバブルが弾ける直前にフランスに来たのだが、その当時は、日本の物価の高さは有名で、フランスでは何もかもが安く見えたものだった。しかし、フランスでは、その後物価は2倍近くになったような気がする。一方、日本では物価が30年前からほとんど変わっておらず、一時帰国する度に驚かされる。もちろん日本でも最近は物価高が問題になっているようだが、それでも、極端な円安のため、筆者にとっては、日本の物価は安すぎるように見えるのだ。日本に一時帰国してスーパーで買い物をしたり、外食する度に、何もかも安いのは嬉しいのだが、生産者や店主の方々が正当な報酬を受け取れているのかと心配になる。よりマクロ経済的に見ると、日本企業の多くは、国外から見ると今や絶対にお買い得である。気づかぬうちに安全保障上で重要な企業などが買い叩かれねばよいのだがと思わざるを得ない。