マクロン大統領は3月2日、核抑止力のドクトリンについて見解を表明した。ブレストにある海軍拠点を訪問した際に演説を行った。
イラン紛争が勃発する中での発表となったが、訪問と発表は勃発前から準備されており、足元の紛争との直接の関係はない。マクロン大統領が核抑止力について見解を表明したのは2020年2月に遡るが、それ以来で世界情勢は大きく変化した。大統領は、従来のドクトリンを維持しつつ、新たな情勢に対応するために、核軍備を強化し、欧州諸国との協力を進める方針を示した。
大統領は、「欧州大陸の奥深くで我が国の核抑止力を強化する」とし、「先進的抑止力」を展開すると説明。このため、核弾頭の数を増強する必要があると言明した。これまでは300発という目安が示されていたが、大統領は今後、数について公表することは憶測を呼ぶことになるとして、公表はやめると予告した。
フランスの核抑止力は、弾道ミサイル潜水艦に搭載の核兵器と、ラファール戦闘機に搭載する核弾頭ミサイル(ASMP-R)により構成される。マクロン大統領は、核抑止力による独立と自由の防衛は孤立を意味するものではないとし、欧州諸国との核抑止力に関する協力に向けた意欲を確認。具体的に、ラファール戦闘機隊の核ミサイルを同盟国にも配置する可能性に言及した。その前段階として、有志国と共に合同訓練を進める考えを明らかにし、ドイツが要のパートナーになると説明した。さらに、ポーランド、オランダ、ギリシャ、ベルギー、スウェーデン、デンマークも関心を示しているとして、さらに多くのパートナーにも開かれていると説明した。ただし、マクロン大統領は、核兵器の共同管理の可能性は否定し、決断を下す権限は、仏国民の信託を受けた共和国大統領のみに存すると説明した。
大統領は、ミサイル発射の宇宙監視や、射程の長い攻撃力の確保など、通常兵器の分野を含めた開発と軍備強化の必要性を強調。英独仏の3ヵ国がこの分野で協力するとも述べた。