欧州文明は消滅に向かいつつあるのか

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

米 国 の ト ラ ン プ 政 権 が 「 国 家 安 全 保 障 戦 略 ( National Security Strategy ) 」 を 発 表 し た 。
https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2025/12/2025-National-Security-Strategy.pdfでダウンロ
ードできる公文書なので、誰でも読めるのだが、その対欧州観が注目されている。欧州に関する25ページ目
以降の部分で、欧州は「文明の消滅(civilizational erasure)」に向かっており、20年後の大陸欧州は見る影
もなくなり、信頼できる同盟相手ではなくなるかも知れない、などと上から目線で言いたい放題で、トラン
プ大統領の欧州に対する評価は控えめに言っても軽蔑的だ。もちろん、どんなに偉大な文明も必ず衰え、終
焉を迎える。しかし西洋文明の没落に警鐘を鳴らすのは、元来はシュペングラーだのポール・ヴァレリーだ
のの、欧州を代表する知識人の十八番で、しかも彼らの危機感は、自らの正当性や優位性を繰り返し根本か
ら問い直さずにはいられない西洋近代文明の特性に由来しており、それ自体が文明の貴重な産物であり、文
明の再活性化効果を伴っていた。ところが、今では、こうした自省的態度とほぼ無縁の部外者によってあっ
けらかんと消滅のリスクが指摘されてしまう体たらくだ。その一事をもってしても、欧州文明は確実に衰退
しつつある感が強い。もし欧州文明が本当に終末期に入っているなら、我々は滅多に出会えないほど大きな
歴史の転換を砂かぶりの席で体験しつつあるのだろう。しっかりとその最期を見届ける義務がある。