EUやNATOに加盟する欧州諸国がロシアと戦争に突入する可能性はあるのか? まさか、と数年前なら言え
ただろうが、今は真剣に受け止める人が増えている。プーチン大統領は最近の発言で、「欧州がその気な
ら、いつでも受けて立つぜ」と凄んでみせたが、普通に考えて、西側でロシアとの戦争を望んでいる国はな
い。ロシアの側から攻められないように防衛を固める方向に動いているのは事実だが、核兵器保有国である
ロシアを自分から積極的に攻めようという発想はどこからも湧いて来ないだろう。ロシアが武力によるウク
ライナの占領を企てたのは、NATOの東進で包囲され、封じ込められつつあるという焦燥感が原因だとされ
るが、ロシアの近隣諸国から見れば、親ロシアでロシアの影響圏にとどまることを望むのでない限り、専制
軍事大国から身を守りたいと考えるのは当然だ。もちろんナポレオンやナチスドイツがロシアに攻め込んだ
事例などを持ち出して、ロシアの西欧に対する警戒心や不信感を説明するという手はあろうが、それを本気
で信じるには、一定量の狂気が必要だ。互いに被害妄想的な勘違いが昂じて、避けられたはずの無用な戦争
に追い込まれてしまうのであれば、皮肉な話だが、プーチン大統領が掲げる(いかにもロシア的な)誇大妄
想の歴史観や世界観を素直に受け止める限り、理性的な話し合いにより誤解を解き、過剰な危機感を払拭す
る外交の道は、ロシアとの間ではすでに閉ざされてしまっている感がある。プーチン・トランプ間のやり取
りを見ても、欧州基準で見たら、まともに話が通じる印象はない。それに、ロシアによる欧州へのハイブリ
ッド攻撃はすでに始まっている(これは西側の妄想ではないと思う)。いまや、いかにしてロシアを抑止し
たり、牽制するかではもはやなく、いかにしてロシアに反撃し、ロシアとの戦いに勝つかをまともに考え始
めなければならない段階に来ているのかもしれない。SF以外ではあり得ないと思われていた核戦争のリスク
も除外できない。愚かしくも恐ろしい事態ではある。一切は筆者の妄想、であってくれれば良いが。。。