ルーブル美術館の盗難事件

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

パリのルーブル美術館が19日朝に盗難にあい、宝飾品8点があっという間に盗まれてしまった。用いられて
いる多数のダイヤモンドやエメラルド自体の価値もさることながら、歴史的価値の大きい品々で、21日付け
のルパリジャン紙は「フランスの歴史が盗まれた」とし、各々の宝飾品にまつわる歴史を紹介している。同
紙がインタビューした専門家は「ピカソの『ゲルニカ』が盗まれたようなもの」とその衝撃を説明。美術館
は19日と20日の両日に閉館し、見学客にも残念な事態となった。筆者も人並みにルーブルを見学したことが
あり、絵や彫刻は一通り見たつもりだが、宝飾品については知識も関心もなく、こうした品々が展示されて
いたことを、盗難事件を機に知るはめになった。あるいは館内を経巡る際になんとなく目にはしていても、
その価値に気づかないまま素通りしていたのかも知れない、と思うと今更ながら残念ではある。用意周到な
盗賊団のようだから、盗難品が戻って来るかどうかは不確かだが、もしも運良く回収されて再展示されれ
ば、その際には注意深く見学したいものだ。それはともかく、この事件を機に第二帝政に関する関心が高ま
りそうなのは不幸中の幸いかも知れない。日本の論壇では、ナポレオン三世と第二帝政を「凡庸」などいう
キーワードでくくる人々が一世を風靡したこともあったが、さすがにそんな単純なものではない。「歴史が
盗まれた」のをきっかけに、歴史を取り戻す再評価が進めばルーブルにも怪我の功名となろう。