ハンガリーの作家クラスナホルカイ・ラースロー氏にノーベル文学賞

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

今年のノーベル文学賞はハンガリーの作家クラスナホルカイ・ラースロー氏に授与された。筆者は読んだこ
とがないが、「終末的な恐怖のただ中にあっても、芸術の力を再確認させるような、説得力と先見性に満ち
た作品」が評価されたそうだ。日本の報道によると、京都にゆかりのある人でもあるという。毎年ノーベル
賞の受賞者が発表されるたびに、物理・化学・医学部門の受賞者を門外漢の筆者が知らないのは当然とし
て、文学賞の受賞者すらも大半が知らない作家であるのは、文系出身者として不明を恥じるほかないが、ブ
ッカー賞、ゴンクール賞、芥川賞など、文学賞の重要な役割の一つは受賞者の作品を広く世に知らしめるこ
とにあるのだから、筆者同様に世界の現代文学に疎い読者層が、ほお、こんな作家がいるのか、と関心を抱
くだけでも効果はあると言えよう。ちなみにクラスナホルカイ・ラースロー氏の日本語訳は『北は山、南は
湖、西は道、東は川』のみで、すでに絶版になっているとのこと。しかし新たな翻訳の動きもあり、数年後
には日本語でも読めそうだ。筆者は試しに仏語訳と英語訳の抜粋を読んでみたが、評判通りに複雑な構文の
長い文章が連なり、読み通すには相当な気力が必要だと感じた。それはそれで貴重な文学的試練となろう。