タレス、ICスマートカードの量子安全ソリューションで認証取得

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仏タレス(防衛電子)は10月7日、ICスマートカードのセキュリティ向上のためのソリューションについて、仏当局機関ANSSIから認証を取得した。量子コンピュータが実現しても破れないセキュリティの水準を達成したことが認められた。
2030年以降に実用段階に差し掛かると予想されている量子コンピュータについては、その到来により、膨大な計算力を利用して既存のセキュリティシステムを破ることが容易になることが懸念されており、セキュリティの向上が急務となっている。タレスは、官公庁が発行するICチップ利用の本人確認書類について、チップにポスト量子暗号アルゴリズムを実装することで、セキュリティコードをこじ開けることを不可能にするソリューションを開発した。量子安全の達成で世界標準に即した認証を受けるのはこれが初めてという。
タレスは、ICチップ利用の本人確認書類の分野で30%を超えるシェア(数量ベース)を握る世界大手。同社は年内に、認証を得たソリューションを実装したICチップの量産を開始する予定で、更新にあわせてセキュリティ向上を図る各国の官公庁に新製品を売り込む。同社は次いで、ICクレジットカードに適合した量子安全ソリューションの開発を進める予定。同社は、世界トップ100銀行の92%と取引関係がある。通信事業者(主にSIMカード)向けの開発なども順次進める。