このところテレビやネットでのスポーツ観戦で忙しい。卓球の世界選手権、野球(日本のプロ野球や米大リ
ーグ)、サッカーの欧州チャンピオンリーグ、テニスの全仏などを楽しんでいる。今後も自転車のツールド
フランスやテニスの全英が控えている。自分では普段の暮らしで特にスポーツを実践しているわけではない
のに、なぜ?という疑問も湧くが、競技場で観戦しているファンを見ても、筆者同様、到底スポーツの実践
者とは思われない体型の人も多い。これはやはり、多くのファンにとってはスポーツ=ショー(実践するも
のではなく見て楽しむもの)だから、と理解しておけばよいのだろう。しかし、映画やTVドラマや芝居な
どと違って、おおまかなシナリオはあっても、先の展開があらかじめ決まっていないショー、作り物ではな
いショーである点にスポーツの面白みがある。チャンピオンリーグの決勝戦で、前日までスタメンに入ると
すら思われていなかった19歳の若者が2得点・1アシストと大活躍したのがその好例だ。試合は観戦者の目の
前でリアルタイムで作られて行くが、作っているプレイヤー自身も一寸先の展開を知らないまま無我夢中で
動いており、アクターもスペクテイターも最大限のサスペンスに一喜一憂できる。ファンが八百長試合を許
せないのも、こうしたスポーツの醍醐味を台無しにする行為だからだろう。スポーツ以外の分野で、このよ
うなサスペンスの醍醐味を味わうことができるのは、トランプ大統領の関税政策ぐらいではないだろうか?