ティエリー・マルクスの調理学校、資金難で閉鎖の危機に

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著名料理人ティエリー・マルクスの調理学校「Cuisine mode d’emploi(s)」が資金難に見舞われている。同校は、職業研修センターとして2012年に開所、無職者や生活困窮者を受け入れ、ティエリー・マルクスが指導する12週間の速習コースで調理人に養成する。フランス各地に教室を開き、これまでに4152人が受講した。同校では、雇用から遠ざかっている人に短期間で飲食店の厨房で必要とされる技術を指導しており、修了後は84%が別の研修を受けるか就職先を見つけるかしている。失業対策に悩む地元自治体からも求人難の飲食業界からも好評だった。
ところが、2025年予算法による職業研修予算の引き下げを背景に、2025年2月以来で国内9ヵ所のうち5ヵ所の教室が資金不足で次々に休業に追い込まれた。同校は運転資金の65-70%を国の職業研修助成金でまかなっており、昨年までは助成金を申請すればほぼ自動的に受給できていた。しかし、制度改革によって、職業研修センターは各受講生について修了後の雇用を約束する企業(管轄当局によると、条件はその後、「雇用の約束」から「雇用の意思」に緩和された)を見つけないと、助成金が下りなくなった。
状況が変わらなければ、6月までに全教室が閉鎖に追い込まれる恐れがある。