イスラム主義テロリストによる教員斬首事件から1年

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中学校教諭のサミュエル・パティ氏が学校帰りにイスラム主義テロリストに殺害される事件が発生してから、10月16日(土)でちょうど1年目を迎える。同日には、パリ・ソルボンヌ大学前の広場を「サミュエル・パティ広場」と命名する式典を含めて、一連の行事が予定されている。当日は就学日ではないため、15日に全国の学校で黙とうなどが行われる予定となっている。教育省は、義務的な取り組みとはせず、各学校の判断に委ねたが、何らかの儀式を行うよう推奨した。
パティ氏は、パリ郊外コンフラン・サントノリーヌ市(イブリーヌ県)の中学校で社会科の教員を務めていた。表現の自由に関する授業の機会に、イスラム教の預言者ムハンマドの戯画を参考として見せたが、これが論争を招き、触発されたイスラム主義者により殺害の上、斬首されるという凶悪事件に発展した。事件は全国に衝撃を与えたが、イスラム教徒の中には「両方とも悪い」といった意見を持つ向きも少なからずあり、事件から1年を経て、冷静な対応ができる状況になっているとはおよそ言い難い。現在も、現場の教員の間には、宗教への対応などを巡り動揺がある。また、この事件では、マクロン大統領とフランス政府が教育を通じてイスラム教を愚弄している、などとしてフランスを非難する大衆運動が一部のイスラム教国で発生していた。