極右系グループ「OAS」のメンバーらを被告人とする裁判で、パリ地裁は12日、6人の被告人全員に禁固5年から9年の有罪判決を言い渡した。テロ組織の結成の事実があったと認定した。なお、この容疑における最高刑は禁固10年と定められている。
「OAS」は「社会軍組織」の頭字語だが、1960年代に暗躍したテロ組織「秘密軍組織(OAS)」を下敷きにしている。かつてのOASは、アルジェリア独立への反対を訴えてテロ攻撃を展開し、2000人を超える死亡者を出していた。パリ地裁は、新OASが、かつてのOASのメンバーとの接触を図るなどして、同じような組織形態を志向し、国家機構の動揺を招くような活動を行える武装勢力となることを目指していたと認定。反乱や殺人の呼びかけを行い、武器購入の資金を得るために企業の脅迫を計画していたとも認定した。このグループは、アラブ人やイスラム教徒をフランスから追い出すとの目標を掲げて、イスラム教寺院やケバブ飲食店、極左系の飲食店、さらにのちのカスタネル内相(事件当時はアルプドオートプロバンス県フォルカルキエ市市長)を狙ったテロ攻撃の構想を練っていた。グループは2017年6月に摘発されていた。
首領格のロガン・ニシン被告人のみはテロ準備の事実関係を認め、禁固9年の有罪判決を受けた。あとの5人の被告人は、実現が可能であるとは思わずに、趣味のように関わっていたと弁明したが、関与の軽重に応じて禁固2年から8年の有罪判決を受けた(うち2人は執行猶予付き)。ニシン被告人は控訴せずに、勾留期間を含めて刑期の半分が終わった時点で仮出所を申請する意向とされている。