死刑廃止40周年:マクロン大統領、世界で死刑廃止に向けて働きかけへ

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9日にパリのパンテオンで死刑廃止40周年の記念式典が行われた。マクロン大統領はこの機会に、世界全体で死刑廃止を働きかける取り組みを進めると予告した。
フランスでは1981年に死刑が廃止された。ミッテラン左派政権の下で死刑廃止を実現した弁護士出身のロベール・バダンテール法相(当時)は式典で挨拶し、「死刑は人類の恥であり、死刑によって凶悪な犯罪が後退することは決してない」と言明し、死刑反対の信念を改めて表明した。死刑はその後、欧州人権条約において禁止の旨が定められ、欧州連合(EU)加盟国においては全廃されており、処刑が継続されている国は世界全体でみると半数に満たない。
マクロン大統領は同じ機会に、世界全体での廃止に向けた戦いを再開すると言明。フランスがEU議長国を務める2022年1-6月期に、パリで死刑存置国の市民社会代表を集めたハイレベル会議を開き、死刑廃止を訴えると予告。また、EUのパートナー諸国と共に、死刑判決数と執行数を国連に通知することを義務付ける決議案を提出するとも予告した。
死刑の是非はフランスにおいてもいまだに議論の対象となっている。極右勢力は伝統的に死刑復活を要求。大統領選挙への出馬が噂され、支持率が上昇を続けている右翼の論客エリック・ゼムール氏も死刑復活を声高に主張している。