ビグマリオン事件:サルコジ元大統領に禁固1年の実刑判決

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ビグマリオン事件の裁判で、パリ地裁は9月30日にサルコジ元大統領に対して禁固1年の実刑判決を言い渡した。ただし、位置確認の発信機の装着義務を課した上で、収監を免除することとした。元大統領は弁護士を通じて、判決を不服として控訴すると予告した。
この裁判では、サルコジ元大統領が再選を狙って出馬した2012年の大統領選において、元大統領の陣営が規定の上限を大幅に上回る選挙資金を投じ、これを隠すために別名義の請求書を発行させるなどしていた疑いが問われていた。選挙資金総額は、法定上限の2250万ユーロに対して、4270万ユーロにまで上っていた。サルコジ元大統領が不正を指示していたことを示す証拠は得られず、検察側は元大統領については不正行為を知りながらこれを隠すことに協力していたという容疑で起訴した。裁判所は、求刑の禁固1年(うち6ヵ月は執行猶予付き)よりも重い執行猶予なしの禁固1年という最高刑を言い渡した。元大統領は、不正の存在は知らされておらず、不正はスタッフらが忖度して勝手にやったことだと裁判の機会に主張していたが、裁判所は、元大統領が事前に2回に渡り上限額を超過するリスクを部下から報告されていながら、それまで以上に費用高のキャンペーンを展開したことを問題視。裏方役や番頭役としても選挙キャンペーンの経験が豊富だったサルコジ氏に予算超過のリスクが理解できなかったはずがなく、それでも費用の投入をやめなかった責任は重いと認めた。選挙キャンペーンの責任者や、請求書偽装に協力した取引先のビグマリオン社(イベント開催)の経営者ら、合計で13人の他の被告人は、文書偽造、職権乱用、詐欺などの罪状で、禁固2年から3年6ヵ月までの有罪判決を言い渡された。
サルコジ元大統領は去る3月に、別の事件で禁固3年(うち2年は執行猶予付き)の有罪判決を受けている。これは、捜査情報の取得を目的に高官に対して昇進の手配を約束したとされる汚職容疑の裁判における有罪判決で、実刑部分が伴う有罪判決を大統領経験者が言い渡されたのはこれが初めてだった。今回で2回目の実刑判決となった。