デメオCEOのインタビュー

投稿日: カテゴリー: 欧州自動車・モビリティ情報

9月18日付けのル・モンド紙はルノーのデメオCEOのインタビューを掲載した。同社の経営陣は16日、2022-2024年の労使合意に向けた交渉を開始する意向を労組に伝え、2500人を新規採用する一方で、エンジニアリング部門での1600人を含む2000人の削減を実施する方針を明らかにしていた。差し引きで500人の増員が予定されるものの、2020年5月の再編プランで計画された4600人の削減が実現されつつあり、これを補うには程遠い。
CEOは以下のように説明した:
「付加価値の高い全ての事業をフランスに持続的に定着させたい。これは、弊社にとって難しい時期を経た後に出てきた新たな本格的展望だ。経済的現実に合わせて会社のサイズを修正しなければならなかった。ルノーのフランスでの年間生産台数は50万台前後にまで落ち込んでしまったが、それは現行モデルの「エスパス」「タリスマン」「セニック」などについて2012-2013年に不適切な決定を下してしまったせいだ。これらのモデルは売れなかった。フランスでの生産台数が落ち込んだのはそのせいであって、意図的なものではなかったし、ドゥエ工場には10億ユーロを投資した」
「競争力を失ったフランスの生産施設とエンジニアリングという、ルノーのシステムの心臓部を今は治療しているところだ。私は心臓病専門医のようなもので、経営チームや社員と一緒にシステムを再生させようと努めている。ありがたいのはシステムの心臓部がここフランスにあるという点だ。ルノーという社会的実験室を現代バージョンで蘇らせることが可能だ。自動車の生産と販売を増やすので、求人も当然増える」
エンジニアリング部門の人員削減については以下のように述べた:
「フランスにおけるルノーのエンジニアリング部門は規模が大きすぎるのが現実だ。2015年から2019年にかけて人員は30%増加した。ルノーは人員削減を批判され続けたが、実際にはこの時期にルノーは5000人を新規採用し、逆にフランスにおける競合各社は数千人を削減した。たしかに、我々はフランスで人員削減を実施する予定だが、それは今日必要とされる高度な能力を備えた人材の確保に注力するためだ。データの専門家、バッテリー化学の技術者、工場要員など未来の職種で2500人を新規採用する。また1万人の既存従業員に配転のための訓練を施す」
ルノーを唯一の顧客とする部品メーカーのシリンダーヘッド工場が閉鎖の危機に直面し、従業員が抗議行動を展開していることについては、CEOは以下のような立場を表明した:
「状況は分かるが、ルノーは自動車部門の全てのサプライヤーの問題全体を解決することはできない。そのような手段がないからだ。欧州はエコロジー移行の大陸となることを選択し、メーカーが電動化に投資し、2030年までに新車の9割をBEVにするように促すルールを採択した。電動モーターは内燃機関エンジンほど鋼鉄やアルミを必要としない。これはどうしようもない現実で、ルノーのせいではない。フランスの産業システムに小型車を製造する競争力がないことがルノーのせいではないのと同じだ」
CEOは経営戦略の選択について以下のように説明した:
「1年前には半期だけで80億ユーロの損失を出していた。今の業績の回復は本物だが、まだ脆弱であり、資金力は限られているので、戦略的選択に集中する必要がある。あらゆる方向に走り回るわけにはいかない。ルノーを恒久的に存続させることが私の課題だ。ルノーはフランスの自動車産業の重要部分を担っているからだ。プラス面を見るなら、ルノーリューションを実施することで、80億ユーロをフランスに投資することになる」
半導体不足については次のように述べた:
「今が一番苦しい時だ。いつ正常化するかを予測するのは非常に難しい。イナゴの大群以外のあらゆる災難を被ったようなものだ」