仏国鉄SNCF、パリ北駅の改修計画を断念

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仏国鉄SNCFは21日、パリ北駅の改修計画を断念すると発表した。予算超過と工期の遅れを理由に挙げた。
北駅改修計画は、2024年のパリ五輪開催を準備する大型プロジェクトの一つとして推進された。北駅は欧州最大規模の駅だが、危機前の予想では2030年には1日の利用客数が90万人に達する見込みであり、利用客数の増大に対応して規模を拡張する必要に迫られていた。プロジェクトは2019年に決定され、オーシャン・グループ(食品小売大手)の不動産開発部門Ceetrusが開発事業を請け負った。現在の駅舎の向かって右側に、駅ホームに沿った形で建物を整備し、現在の駅舎を補完するという構想だったが、早くから、新駅舎に多数の商業施設が入居する(1万8000平方メートルを追加整備)ことに営利的であるとする批判の声が上がり、環境派も計画に反対した。地元のパリ市は、最初は賛成していたが、途中から反対に回ってプロジェクトは難航し、計画を手直しすることでようやく承諾したという経緯もあった。
今回、SNCFは、整備予算が当初予定の6億ユーロから15億ユーロ超へ膨張することになったことを挙げて、計画断念の理由とした。反対派はこの決定を歓迎。開発を請け負ったCeetrusの側では21日の時点でコメントを発表していない。将来を見据えて何らかの改修を行う必要がなくなったわけではないが、今後の展望は今のところ明らかではない。