Marlink、英プロビデンス・エクイティパートナーズの傘下に

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投資会社のエイパックスは、傘下の仏Marlink(船舶衛星通信)について、英同業プロビデンス・エクイティパートナーズの出資を受け入れることを決めた。過半数株式を売却するが、かなりの株式を保有する少数株主として留まる。この機会に仏アルディアン(資産運用)も出資する。取引は評価額を14億ドルに設定して行われ、関係当局の許認可を得て、2022年1-6月中の成立を目指す。なお、この評価額は、EBITDA倍率で10倍超に相当する。
Marlinkは従業員数が1000人強で、2020年に4億1900万ユーロの売上高を達成した。世界の1万1000隻に上る船舶を顧客に、通信サービスを提供している。企業買収を通じて事業を拡大しており、去る1月にはパナソニックからITCグローバルを買収していた。
エイパックスとMarlinkの関係は古く、Marlinkの前身であるVizadaをエイパックスがフランス・テレコムから7300万ユーロで買収した15年前にさかのぼる。2011年には同社を一旦、エアバス・グループに6億7300万ユーロで売却。エアバスはその軍用事業を手元に残し、民生用事業を2016年にエイパックスに4億ユーロ強で売却した。エイパックスは社名をMarlinkに改めた上でその成長を後押しし、それ以来でEBITDA(2020年に1億3000万ユーロ)は3倍増を記録している。Marlinkはプロビデンスを筆頭株主に迎えて、商船へのデジタル技術導入の需要拡大を取り込むことを目指す。同社は仏SeaOwlと共に、遠隔航行船の実用化にも取り組んでいる。