「衛生パス」偽造の摘発増える

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「衛生パス」による制限措置の導入を経て、この証明書の偽造の摘発も増えている。不正が発覚すると、偽造者と利用者のいずれも厳しく処罰される恐れがある。
ワクチン接種は無料だが、ワクチン反対派の中には、金を払ってでも偽造パスを入手しようと考える向きもある。そうした需要に支えられ、インターネット上では1本1000ユーロといった値段での提供を持ち掛ける告知も見受けられる。こうした告知は単なる詐欺という場合もあるが、購入者から氏名や社会保障番号を得た上で、本人名義の有効な証明書を提供するケースも見られる。そうした発行は健保公庫(CNAM)の有資格者アクセスがない限りは不可能であり、内部の者が何らかの形で介在していることになる。
これまででは、医師が知らないうちにアカウントを不正利用されていたケースが数件、報告されている。マルセイユの公立病院に勤務する外科医の場合、200通近くの証明書が、本人が知らないうちに発行されていた。ダークウェブなどを通じてIDなどのデータが取引されている可能性がある。もちろん、関係者が自ら不正に手を染めているケースもある。これまでに、パリ、ボルドー、グルノーブルなどで、接種担当の医療関係者を含む偽造組織の摘発がなされた。パリ北郊ビルパント市(セーヌ・サンドニ県)で200通の証明書の不正発行に関わった関係者の場合は、禁固18ヵ月の実刑判決を言い渡された。偽造側の最高刑は禁固5年、罰金7万5000ユーロとなっており、利用者の方は禁固12ヵ月が最高刑となる。