神父殺害事件、ナント大聖堂放火事件のルワンダ人容疑者が自首

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

カトリックの神父が殺害される事件が発生した。犯人は9日朝に自首したが、この人物は、2020年に発生したナント大聖堂の放火事件の容疑者だった。
事件はバンデ県モルターニュシュルセーブル市にあるモンフォルタン単式修道院内で発生。この修道院が身元引受人となっていたルワンダ出身のエマニュエル・A容疑者(40)が9日に警察に出頭し、自ら殺害を自供した。警察が調べたところ、自供通りに同修道院内で神父の遺体が発見された。
報道によると、殺害されたのは同修道院で指導職を務めていたオリビエ・メール神父(60)。エマニュエル・A容疑者は2012年にフランスに入国したが、同修道院は当時よりエマニュエル・Aを援助していた。容疑者はその後、ナント大聖堂の手伝いとなり、2020年7月に放火事件を起こした。同容疑者は、同年3月の時点で国外退去命令を受けて係争中で、精神が不安定になる中での犯行だったと考えられている。容疑者は裁判を待って保釈中の身で、モンフォルタン修道院が身元を引き受け、施設内に住まわせていた。最近では、精神病院に入院後に、修道院に戻っていたという。警察では、容疑者の精神異常の疑いを含めて、事件の捜査を開始した。テロの可能性は除外している。
この事件について、極右RNのマリーヌ・ルペン党首は、「フランスでは、不法滞在者が大聖堂に放火して、追放もされずに神父を殺害できるのか」などとコメントして、この事件を移民問題に絡めて政府批判の材料とした。ダルマナン内相はこれに反論し、犯罪事件の容疑者として保釈中の者に国外退去処分を適用できるはずがないとし、容疑者を受け入れた聖職者に対する同情の念もなしにそのような発言をするのは不謹慎だと非難した。
ルワンダ出身の40才といえば、あの事件当時に12才前後と、何かしら重いものを背負った人物であるかもしれない。聖職者らがこの人物の援助を続けてきた理由もそのあたりにあったのだろうか。