TF1、映画業界と制作投資拡大巡り合意

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民放大手TF1グループはこのほど、映画業界団体との間で合意を結んだ。映画制作投資の拡大を約束し、その見返りに放送権の運営における柔軟性を得た。
テレビ局がこの種の包括的な合意を結んだのは、有料テレビのカナルプリュス(ビベンディ傘下)以外では前例がない。TF1はグループとしての売上高の3.5%(2020年売上高に基づいて計算すると4750万ユーロ)を映画制作に投資すると約束(従来は3.2%)。TF1はその見返りに、傘下の複数の局で放送する自由度と、キャッチアップTVサービスにおける放送権をはじめて確保した。具体的には、TF1グループは、年間17本の映画を制作前投資の形で支援する(従来は14-15本)と約束。TF1グループは、30日間に2つの局で2回放送することが認められる。キャッチアップTVについては、詳細が固まっていないが、TF1は有料サービス上でのみ配信するとしている。なお、テレビ局が服している放送制限(封切から放送開始までの間の期間の設定)をSVODプラットフォームに対しても適用する方向で、文化省が現在、合意実現に向けた調整を進めているが、TF1は、映画業界団体との合意において、放送権を得た期間については独占的に放送が認められるようにすることを履行の条件として設定した。文化省が交渉中の合意において、SVODプラットフォームの放送権が、TF1の独占放送期間中においては一時的に停止されることを要求したことになる。