モンパルナス墓地のブランクーシ作品、行政最高裁が遺族の訴えを棄却

パリのモンパルナス墓地にあるブランクーシ作の墓碑「接吻」を巡る係争で、行政最高裁判所(コンセイユデタ)はこのほど、国の決定を支持し、墓碑の遺族側の訴えを退ける判決を下した。
この墓碑は、1910年に亡くなったロシア系女性のターニャ・ラシェフスカヤさんのもので、ブランクーシ作の彫像が墓碑の上部に設置されている。「接吻」と題されたこの彫像は、ブランクーシが1907年から1945年にかけて数体を製作したもののうちの一つで、縦長の直方体を二つ並べたような形で、全体が抱き合っている2人の人物のように見える。
パリの画商であるギヨーム・デュアメル氏は、ウクライナにラシェフスカヤさんの親戚を探し当てて、その代表者として輸出許可を2006年に申請。政府はこれに対して、墓碑全体を歴史的建造物に指定することにより輸出を禁止したが、デュアメル氏側はこれを不服として行政訴訟を起こした。パリ高等行政裁は去る12月11日、デュアメル氏側の訴えを認めて、ブランクーシの作品部分は墓碑には含まれないとの判断を示し、作品部分のみを取り外すことを認める判決を下していたが、国がこれを不服として上告していた。行政最高裁は、作品が墓碑の一部とすることを唯一の目的として購入されたものである以上、墓碑の不可分の一体をなすものであり、その限りで、国は所有者の許可なく歴史的建造物の指定を決める権限がある、との判断を下し、下級審判決を覆して、デュアメル氏側の訴えを却下した。専門家によれば、この場合には所有者側が賠償を得ることもできないのだという。
モンパルナス墓地だけでも、セザールやニキ・ド・サンファルなど、墓碑が作品となっているものが数点あり、この判例により、これらの撤去を相続人が決めるのは難しくなる。デュアメル氏側は、撤去は貴重な美術品を野外設置による劣化から守るのが目的だと主張し、欧州人権裁判所に提訴すると予告している。「接吻」は数年前より木枠で覆われており、見ることはできないが、この状態がまだ当面は続くことになる。