DV被害妻の夫殺害事件、裁判所は温情判決

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長年のDV被害を受けた女性が夫を射殺した事件で、シャロンシュルソーヌ重罪院は25日、バレリー・バコ被告人に禁固4年(うち実刑部分は1年)の有罪判決を言い渡した。被告人はこの事件でこれまでに1年間に渡り勾留されており、被告人を収監させない配慮ある判決となった。求刑(禁固5年、うち実刑部分は1年)よりも温情的な判決を下した。
バコ被告人は40才。被害者のダニエル・ポレット氏は、最初は義理の父親として被告人に性的暴行を加え、次いで夫となり、肉体的及び身体的な暴力を続け、さらに自らの手配で売春をさせていた。2016年3月に、「仕事場」である自動車の車内で口論となり夫を射殺。夫との間に設けた子供たちの助けを借りて遺体を森林に埋め、夫は失踪したことにしていた。その1年半後に、密告(遺体隠しを手伝った娘のボーイフレンドの母親が通報)を経て逮捕され、今回の裁判に至っていた。
弁護側は、長年の虐待により、被虐待症候群に陥り、自由を失っていた被告人が、娘を夫の性的虐待から守ろうとする一心で犯行に及んだものだと主張。心神喪失に陥っていたとして、無罪とするよう求めていた。検察側は、公判においては、当局に被害を届け出るなど、事件を避けるための方法はあったはずだと厳しく追及したが、求刑においては、長年の被害を考慮し、収監がなされないような刑罰とし、裁判所もそれに従った。本来なら、計画殺人として終身刑に問われる可能性もあった。