地域圏議会選挙:現職議長が勝利、極右RNは振るわず

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地域圏・県議会選挙の決選投票が27日に行われた。本土のいずれの地域圏議会でも、現職議長が勝利する結果となった。投票率は過去最低の水準に留まった(棄権率は65.7%)。
極右政党RNはいずれの地域圏でも振るわなかった。過半数を制する可能性があった南仏プロバンス・アルプ・コートダジュール地域圏でも、RN(マリアニ候補)の得票率は43.6%に留まり、現職のミュズリエ候補(共和党)の56.4%と大きく差が開いた。ミュズリエ候補は、第1回投票より国政与党LREMの合流を得ており、決選投票では環境派EELVが率いる左派リストが棄権し、ミュズリエ候補への投票を呼びかけていた。極右排除の大同団結が改めて機能した。
これ以外の地域圏(本土)でも、すべてで現職が再選を果たした。北仏オードフランス地域圏のベルトラン議長(保守)は52.4%の得票率を達成。大統領選への出馬を表明済みの同議長は、早々と行った勝利宣言において、棄権者が表明した政治不信を払拭するべく、国政レベルで努力する旨を表明し、大統領選への意欲を示した。同じく大統領選への出馬意欲をほのめかしているイルドフランス地域圏(パリ首都圏)のペクレス議長(保守)も、45.7%の得票率を確保して再選を決めた。同地域圏では、左派3党(EELV、社会党、不服従のフランスLFI)の大同団結が成立し、第1回投票における得票率を単純に足し上げればペクレス議長を上回る可能性もあったが、決選投票における得票率は33.8%に留まり、結果は振るわなかった。同様の展開はペイドラロワール地域圏でもみられ、現職のモランセ議長(共和党・中道UDI)が46.4%の得票率を確保し、オルフラン候補(EELV、LFI、社会党等)の34.9%に大きく差をつけて再選を決めた。EELVは初の地域圏での勝利を目指していたが、棄権率の高さが逆風となり、果たせなかった。また、LREMは、8地域圏で自らが率いる候補リストで決選投票まで争ったが、そのほぼすべてで最下位が定位置となり、地方における支持基盤の弱さを改めて露呈する結果となった。
全体として、7地域圏で保守又は中道が率いる政権が、5地域圏で社会党が率いる政権が維持されることが決まった。選挙制度により、得票率が30%を超えていれば、トップとなったリストが過半数の議席を確保できるが、唯一、ブルターニュ地域圏では、社会党のリストが29.8%に留まり、過半数擁立は微妙となっている。EELVの協力を得て過半数を確保できる見通し。