経済重要課題に関する報告書、マクロン大統領に提出

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マクロン大統領は23日、経済の重要課題に関する報告書の提出を受けた。報告書は、大統領が昨年5月に作成を依頼したもので、気候変動、不平等、人口高齢化という構造的な問題に長期的な展望の下でどのように対応するべきかを検討した。報告書は、ノーベル経済学賞受賞のジャン・ティロール氏と、国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストを務めたオリビエ・ブランシャールの両氏が中心となり、内外の専門家26人の協力を得てまとめられた。
ティロール氏は、政治的な配慮により、費用や痛みの伴う措置の導入が先送りされ、これらのほとんど生存に関わる問題が解決されてこなかったと指摘し、個別の対策を立てるのではなく、包括的な見地から一体的な改革を進める必要があると指摘した。
報告書はまず、年金改革については、実現が中断されているポイント制に基づいた新制度への移行に基本的に賛意を表明した。ただし、最も脆弱な層の人々が適正な支給水準を得られるよう、低賃金の就労者に無料ポイントを付与するなどの補正措置を導入するよう勧告した。気候変動対策については、炭素価格を高めに設定することが、環境配慮の行動を促し、研究開発を促進するための効果的な措置となり、必要不可欠だと指摘した上で、市街地から離れた地区に住む低所得層の世帯など、負け組になりうる層に配慮した補正措置を導入するよう勧告した。不平等の是正については、教育を通じた機会均等の推進に軸足を置くよう求めたが、それと並行して、企業の投資向け支援に雇用創出の条件を加えるなどして、よりよい雇用の創出を企業に対して促すことが望まれると指摘。また、相続税の見直しを通じたより平等な社会の実現を勧告した。通商面では、児童就労・強制就労・労働者の人権侵害といった側面を社会的ダンピングの定義に含める形での通商合意の締結などを求めた。