ING、フランスのリテール業から撤退か

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

オランダの大手銀行INGは17日、フランスのリテール業の戦略的見直しに着手したと発表した。売却などが決まる可能性もある。同行は、顧客、従業員、その他の当事者の利益を最大限に考慮して決定を下すと説明している。
INGは2000年にフランスに進出。当初は「INGダイレクト」の名称で、支店を持たずにオンライン展開する銀行業の先駆者となった。貯蓄口座の取り扱いで事業を開始し、現在は当座口座や各種金融商品、不動産ローン、消費ローンなどを取り扱っている。顧客数は100万を数える。戦略的見直しはリテールのみで、法人向け事業は対象外となる。INGはフランス国内で700人程度を雇用しており、うち3分の2近くがリテール業に従事している。
INGは3月にはオーストリアのリテール業から撤退すると発表しており、フランス事業の見直しも一連の見直しの一つに位置づけられる。フランスのリテール銀行業は、国内大手6行が強く、外国からの参入が足場を築けない状況が続いている。英HSBC銀行も、投資会社のサーベラスに仏リテール業を売却する交渉を進めており、INGが撤退を決めれば、また外国勢が姿を消すことになる。支店網の展開がないINGの場合はネット専業銀行などが買収に動きやすいと考えられるが、識者らはそれでも、売却するならマイナス価格になると予想している。