2021年6月15日 編集後記

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フランス政府が新型コロナウイルスワクチンの接種を促すテレビ広告キャンペーンを展開しているが、本日 (6月14日)初めて目にした動画では、セリフはほとんどなくて、「Freedom」というリフレインの入った英語の歌が流れて、移り変わる映像をつないでいる。Emailという英語を使うのが嫌だからとcourrielなるフランス語(カナダのケベックが起源らしい)をわざわざ導入したフランス当局が、いまでは接種がもたらす「自由」を喧伝するために、自らあえて英語を用いるのか。。。と愕然とした。「自由」という言葉が自国語にない国ならば、英語を借りてくるのもしかたがなかろうが、フランス語にはLibertéという立派な言葉があったのではなかったか?
筆者は別に言語国粋主義ではないし、そもそも自分の母語ではないフランス語を守るギリもないが、いまも律儀にcourrielという言葉を使い続けている知人のことなどを思って、気の毒になった。それにしても、英語が実質的な公用語となっているテニス界においてすら、審判がスコアを言うときに用いる言語は全仏オープンではフランス語、イタリアンオープンではイタリア語、マドリードオープンではスペイン語を採用して、 各国の国語を尊重しており、13日に終了した全仏に優勝したジョコビッチ選手も毎試合後にフランス語でインタビューに応じる努力をしているのだから、フランス政府ももう少し自国語の保護に配慮してみたらどうだろう。(もっとも、本音を言えば、広告に使う言語としては英語のほうが軽快で、素敵だと筆者も感じている。それに、件の広告が用いているのは、実はファレル・ウィリアムスの「フリーダム」という素敵な曲なのだから、文句を言う筋合いは全くないのだ)