仏政府の気候変動対策支出、10年間で2倍に

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仏公的研究機関I4CE(環境経済研究所)は9日、仏政府の気候変動対策向けの支出(税制優遇措置含む)の推移に関する調査結果を公表した。10年間で大きく支出が増えていることを確認した。
これによると、温室効果ガス排出削減につながる公的支出は、2012年には150億ユーロだったが、2021年には310億ユーロへ増大した。対GDP比では、0.7%から1.3%への上昇となる。10年間の累積支出は2000億ユーロに上り、その内訳は、低炭素モビリティが720億ユーロ、脱炭素エネルギー生産が610億ユーロ、建物の改修が370億ユーロなどとなっている。新型コロナウイルス危機を経て決められた復興プランにより、2021年には56億ユーロと大幅の支出増を記録。このおかげで、気候変動対策支出は、フランスの気候目標達成にほぼ手が届く金額まで到達した。ただし、I4CEでは、復興プランが2022年までであることから、その後も努力が継続される保証がない点を指摘し、2023年以降も増額の努力を続ける必要があると強調した。気候目標を達成するためには、2024-28年の期間に、年間140億ユーロの追加投資を行う必要があるという。
I4CEはその一方で、気候変動対策にマイナス影響を及ぼす税制上の措置の規模が、2021年に160億ユーロの規模に上る点を指摘。航空燃料への課税免除やディーゼル燃料への低めの課税率の適用など、50程度の各種優遇措置があり、これらは、税制上の平等という観点からも問題だと指摘した。I4CEはさらに、今後はよりよい効果をもたらす措置を優先する形で見直しを進める必要があるとも指摘した。